本年度はフレア-スカ-トを中心に、布の物性と出来上るスカ-トの形状との関係を検討した。 1.綿、毛、ポリエステルの試料布22種類を用い、フレア-60cmの同一型紙によりフレア-スカ-トを作成、スカ-トボディに着装させ正面より写真撮影を行った。 2.写真観察により、昨年度のギャザ-スカ-トと同様、スカ-トのシルエットは、ウエストからヒップまでは円弧で、その他の部分は直線で近似できること、ならびに、写真から測定した5つの寸法値によりシルエット形状が記述できることを確認した。 3.各試料布の厚さ、質量、剛軟度を測定。剛軟度はギャザ-スカ-トの場合と同様に、カンチレバ法よるよこ布の値がシルエット寸法値との相関性が最も大きかった。 4.試料布の種類は、ギャザ-スカ-トの場合より広く選んだため、布の物性値とシルエット寸法値相互間の相関性は、ギャザ-スカ-トの場合より大きく、試料布の範囲を一そう広く選ぶことにより相関性はさらに高められると考えられた。 5.シルエット寸法値に関し、厚さ、質量、剛軟度を変数とする回帰式を求め、これを組込んで、シルエットを描出するプログラムを作成した。 6.上と別に、同一試料布を用い、フレア-量を0、60、80、100、120cmに変化させたスカ-トを作成、フレア-量とシルエットの関係を上と同様の手法で検討した結果、フレア-量のちがいはシルエットには影響せず、ひだ数やひだの深さに影響していた。このことについては、さらに数種の布について検討する必要があると思われた。 7.今後は、シルエット形状にひだや影をつける描画法を検討する必要があると考えられた。
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