本研究は、おもな食中毒菌および腐敗細菌など広範囲にわたる食品衛店微生物について、それぞれの標準株および食品由来株等25株を供試し、ニンニク抽出液の抗菌作用とその安定性について検討し、つぎの結果を得た。 1.ニンニク抽出液の抗菌作用 ニンニク抽出液は、供試した食品衛微生物に対し、かなり広し抗菌域と強い抗菌力を示すことが認められた。その最小発育阻止濃度は、数株の腐敗細菌が5〜2.5%を示すほか、大多数の菌株は1.25〜0.63%で、菌種間における顕著な差は認められなかった。 2.抗菌作用に及ぼす加熱処理の影響 抗生剤の検定菌を用いカップ法により抽出液の抗菌作用を検討した。伝出液を100℃20分加熱した場合、抗菌作用は失活した。処理時間を20分とし、37°、55°、70°、85℃の加熱処理後の抗菌作用を調べた結果、70℃以上の加熱温度により急速に減弱することが認められた。 3.抗菌作用に及ぼすpHの影響 ニンニク抽出液が6.0および7.0の場合は、抗菌作用に影響はみられなかった。pH5.0および8.0以上で抗菌作用は次第に減弱し、pHの変化により影響を受けることが認められた。 なお、本研究に用いてニンニク抽出液および供試菌株は、超低温フリーザー(-80℃)で保存し、必要に応じて使用した。
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