運動性高尿酸現象の発現機序を解明することを目的として、雄ラットに尿酸生成抑制剤であるallopurinolを投与した状態でexhaustive runningを負荷し、遅筋(ヒラメ筋)および血漿中のプリン代謝動態を運動5時間後まで検討した。 その結果は、以下の通りである。 1.血漿中のhypoxanthineは運動終了直後に最高値を示し、その後低下したが、1時間後においても有意な高値を示した。Xanthineは、1時間後に最高値を示し、その後低下したが、5時間後においても有意な高値を示した。 2.遅筋(ヒラメ筋)中のATPは、運動終了直後に有意な低値を示した。IMPは、変化しなかった。Inosineは、運動終了直後に有意な高値を示し、その後低下した。Hypoxanthineは、運動終了直後に最高値を示し、その後低下したが、1時間後においても有意な高値を示した。 今まで、ヒトにおいて激運動後の血清尿酸値の回復が遅延するのは、主に速筋からの持続的なhypoxanthineの放出に伴い、肝での尿酸生成が長時間にわたり亢進するためと考えられてきた。しかし、ラットを用いた本研究において、激運動時のアデニンヌクレオチド分解の亢進は遅筋でも起こり、運動終了後のhypoxanthineの増加が観察され、その回復は遅延した。これらの結果は、激運動時の尿酸生成には、遅筋のアデニンヌクレオチド分解の亢進も関与していることを示唆するものである。 短時間の激運動後、血清尿酸値が遅延して上昇し、高尿酸現象が持続する機序は、尿酸前駆物質であるhypoxanthineが運動後にも持続的に筋から放出され、肝および腎などで尿酸へと代謝されるためと考えられる。これらのことについては、引き続き検討を加える必要がある。
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