研究課題/領域番号 |
63580084
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅野 勝己 筑波大学, 体育科学系, 教授 (30015911)
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研究分担者 |
紅露 恒男 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60010542)
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キーワード | 高所順応トレーニング / 最大酸素摂取能(VO_2max) / 血中乳酸蓄積開始点-酸素摂取量(OBLA-VO_2) / -心拍数(OBLA-HR) |
研究概要 |
1.目的:ラグビー競技者の持久性トレーニングの一環として、1500m相当高度における高所順応トレーニングを実施し、その生理的応答を常圧下のトレーニング時応答との比較から検討し低酸素環境下トレーニングの有気的作業能に及ぼす特異性を明らかにすることを目的とした。 2.方法:18〜21才の健常青年男子11人について常圧群6人および低圧群5人に分け、両群とも自転車エルゴメーター(60rpm)による30分間のペダリング(約75%VO_2max)を週3回で8週間にわたり24回継続した。低圧群は低圧環境制御装置(60m^3)を用い、1500m相当高度(634Torr)Fにおいて運動を行ない、両群とも20℃、60%の環境条件で実施した。 3.結果:(1)トレーニング後のVO_2maxは常圧群で約5%、低圧群で約4%の増加傾向を示したが両群間に差は認められなかった。一方、最大作業持続時間および総仕事量は常圧群の15%、24%に対し低圧群は、18%、32%と各値とも有意な増加を示した。(2)2分毎の負荷漸増時血中乳酸濃度は150W以後常圧群ではトレーニング前後で同等であったが低圧群ではトレーニング後に30〜50%の減少傾向を示した。(3)OBLA0-VO_2は常圧群ではトレーニング前後でほぼ同値を示したが低圧群では約3.1l/分から3.3l/分へ約6%の増加傾向を示した。(4)OBLA-HRは、常圧群ではトレーニング前後とも平均171拍/分でほぼ同値を示したが、低圧群では平均164拍/分から174拍/分へ約6%の有意な増加を示した。 4.考察:低圧群は常圧群に比較しトレーニング後にOBLA-VO_2の増加傾向およびOBLA-HRの有意な増加を示したことから、低酸素環境と運動の両刺激が筋細胞内ミトコンドリアの増殖および酸化系律速酵素の増加によるTCA回路系代謝の促進と逆に解糖系代謝の抑制を誘起したことが示唆される。これがトレーニング後の最大作業時間および総仕事量の有意な増大をもたらした生理学的要因と考えられる。
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