1.定常状態が成立するような速度条件において、被検者の自由な歩数とそれに対して最大下の範囲内で、一定の割合で意図的に歩数(歩/分)を増加(+10%と+20%)、あるいは減少(-10%と20%あるいは-15%)させた6分間の走運動の場合と、被検者の自由な歩数とそれに対して、意図的に歩数(歩/分)を増加(+10%)、あるいは減少(-10%)させた30分間の走運動の場合とについて、呼吸・循環器系の応答と主観的強度の変動を検討した。2.6分間の走運動の場合:自由な歩数での走運動は、酸素摂取量、心拍数、PRP(Pressure Rate Product)値およびRPE(Ratings of Perceived Exertion)が必ずしも最少とはならなかった。さらに、歩数を減少させた場合は、増加させた場合よりも同一の増減率であっても、歩数を減少させた場合の呼吸・循環器系への負担度は大きくなった。しかし、体酸素消費量に対する心筋酸素消費量(PRP/VO_2)には、ほとんど変化が認められなかった。3.30分間の走運動の場合:自由な歩数と+10%歩数の走運動とを比較すると、酸素摂取量、心拍数、PRP値およびRPEには差は認められなかった。しかし、-10%歩数の走運動では、自由な歩数と+10%歩数の走運動のいずれよりも明らかに高くなった。また、3種類の歩数条件での走運動の時間経過に伴う酸素摂取量、PRP値およびPRP/VP_2値は、いずれも定常状態を示し変化は認められなかった。しかし、心拍数およびRPEは、時間経過に伴い漸増し定常状態を示さなかった。4.運動不足の解消と有酸素性作業能の維持を目的として、ランニングやジョギングを行うのであるならば、歩数を多くした走歩が、呼吸・循環器系への負担度は低いことが明らかになった。しかし、より積極的に有酸素性作業能の向上を目的とするならば、歩数を少なくした走歩が適当であることが明らかになった。
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