小学生(10歳)の非活動的児童5名と活動的児童5名について(1)自転車エルゴメーターにより300、450、600、750Kpm/minの負荷で20秒間ずつ50rpmの一定速度で連続して運動を行わせ(持久的運動)、十分な休息を取った後(2)階段(1段の高さが15cm、14段)を全力で駈け昇り、ターンして駈け降りる運動(瞬発的運動)、更に(3)背筋力計を全力で7秒間引きあげる(アイソメトリック運動)3種類の運動を行わせた。これらの運動に際して僧帽筋、脊柱起立筋、大殿筋、大腿二頭筋、大腿直筋からEMGを双極導出し、し、データレコーダに収録した。そして、EMG信号は、本研究費により購入したPCー9801V×41で全波整流した後、単位時間当りの積分値(m1EMG)をもとめるとともに、周波数解析を行い、Mean power freguencyを算出した。その結果、自転車エルゴメーター運動においては、非活動的児童は活動的児童に比べて脊柱起立筋の放電量が小さいのに対して僧帽筋の放出量は大きい結果が示された。階段の全力駈け昇り運動においては、非活動的児童は活動的児童に比べて脊柱起立筋の放電量が有意(P<0.01)小さく、駈け降り運動では脊柱起立筋と大殿筋の放電量が有意(共にP<0.05)に小さい結果を示した。一方、僧帽筋の放電量は、有意差は見られないが反対に大きい値を示した。背筋力計を全力で引きあげる運動においても、脊柱起立筋と僧帽筋の放電量が有意(それぞれP<0.01、P<0.05)に小さい結果を示した。 以上の結果から、非活動的児童は持久的運動、瞬発的運動、アイソメトリック運動のいずれかの運動を行った場合も脊柱起立筋の放電量が小さいことを示し、直立姿勢を維持し、運動の巧緻性、転倒時の反射姿勢を調節するのに主体的な役割を果す「脊柱起立筋」の機能が低いことが明らかになった。
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