研究概要 |
共通の糖-タンパク質橋渡し構造上に合成される各種の硫酸化グリコサミノグリカンがどのようなメカニズムで仕分け合成されるかを解明する目的で、各種のプロテオグリカンの糖-タンパク質橋渡し構造の構造解析とグリコサミノグリカンの硫酸化を触媒する硫酸基転移酵素の活性調節機構の研究を行い、以下の諸点を明らかにすることができた。 1.ラット軟骨肉腫で発見したコンドロイチン4-硫酸プロテオグリカンの橋渡し部位のGal-4硫酸構造を、クジラの正常軟骨のコンドロイチン4-硫酸にも見い出し、この構造がコンドロイチン4-硫酸に広く見い出されることを示すことができた。 2.上記の構造は、ブタ小腸ヘパリン中には見い出すことができず、コンドロイチン硫酸に特徴的な構造であると考えられた。 3.サメ軟骨コンドロイチン6-硫酸中の糖-タンパク質結合部位中に従来報告されたことのないGal-6-硫酸構造を新たに発見し、この構造がコンドロイチン6-硫酸の生合成のためのシグナルであることを指摘した。 4.Engelbreth-Halm-Swarmマウス肉腫組織からコンドロイチン硫酸とヘパラン硫酸を共に結合したハイブリッド型プロテオグリカン由来のペプチドグリカンを単離し、ヘパラン硫酸は低硫酸化しているが、ヘパラン硫酸は逆に硫酸化が亢進しており、GalNAc-4,6-ジ硫酸という新しい構造を有していることを示し、二種の糖鎖の硫酸化の調節が個々に行われている可能性を指摘することができた。 5.コンドロイチン6-硫酸基転移酵素、ケラタン硫酸6-硫酸基転移酵素、ヘパラン硫酸N-硫酸基転移酵素が各種グリコサミノグリカンで阻害され、このうち前の二つの酵素は、細胞増殖因子であるポリアミン、ポリリジン、c-Ki-rasタンパク質由来のC末端ペプチドで活性化されることを示すことができた。
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