研究概要 |
インタ-ロイキン(IL)は、従来バイオアッセイやラジオイムノアッセイにより測定されてきたが、特異性が低いばかりか測定感度も低く免疫機構の解析などには不充分であった。このためILを高感度に測定する酵素免疫測定法(EIA)の開発を行ってきた。hIL-1α、1β、-2は5,30,200amolまで測定することができたが、更に高感度化をするため、諸技術の開発を試みた。1.EIAを更に高感度化するためには、アフィニティ-精製抗体不溶化固相を用いて、抗原の固相へのトラップ率を向上させる必要がある。従来は直接抗原をセファロ-スに結合させてアフィニティ-精製に用いていたが、得られたアフィニティ-精製抗体に微量の抗原・抗体複合体が混在し、これが測定のバックグランドを上昇させ、高感度化の妨げになっていた。そこで抗原-ビオチン化非特異ウサギIgG複合体を調整し、セファロ-スに結合させた。これを用いて得られたアフィニティ-精製抗体から、微量に混在する抗体・抗原-ビオチン化IgGを、アビジン-カラムとゲル濾過により完全に除去した後、IgGを固相に不溶化した。エリスロポエチンをモデルとした場合、測定感度は3倍上昇した。2.免疫複合体転移法の開発:測定すべき抗原とビオチンとジニトロフェニ-ル(DNP)基標識IgG及び酵素標識Fab'の3者から成る免疫複合体を形成させ、これを抗DNP IgG不溶化固相上にトラップした。続いて、過剰のDNP-リジン存在下でこの複合体を選択的に溶出し、アビジン不溶化固相上に転移させ、酵素活性を測定した。フェリチンをモデル抗原として行った結果、測定のバックグランドが格段に低下し、フェリチンの検出限界は3milliamolにまで改善され、従来のサンドイッチEIAに比べて、約17倍感度の上昇がみられた。3.これらの結果より、ILの超高感度測定が可能になる見通しを得たので、免疫担当細胞の培養上清中のILを測定して、これらの機能について解析を行う計画を立てている。
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