1.細胞外Ca^<2+>存在下、非存在下でのイオノホアA23187による血小板活性化の機序について--Intact cellの情報伝達の流れの中でホスホリパ-ゼA_2活性化の機序を明らかにするために、細胞外Ca^<2+>存在下、非存在下の血小板のA23187による活性化の機序を、〔^<32>P〕リン酸、〔^3H〕アラキドン酸で二重標識したウサギ血小板を用いて検討した。その結果、細胞外Ca^<2+>存在下と異なり細胞外Ca^<2+>非存在下ではTPA処理した血小板を用いるとイノシト-ルリン脂質代謝とは無関係にA23187刺激で細胞内Ca^<2+>が動員され、ホスホリパ-ゼA_2が活性化される情報伝達の流れを浮きぼりにすることができた。 2.正常ならびに病変ラット胃における内在性PAF分子種分析ー一般的にPAFとプロスタグランジン合成は平行して起こることが多いと言われているが、前年度すでにプロスタグランジン合成が活発なラット腺胃に高含量のPAFを検出している。今年度はさらにSIM/GC/MSによるPAF分子種分析を行った。1-オクタデシル-2-アセチルGPC(66%)が胃内在性PAFの主要な分子種であり、その生理機能を考える上で興味ある結果が得られた。また水浸拘束により誘発される胃粘膜病変において、潰瘍の形成に先行して胃内在性PAF含量が減少するとともに分子種組成が著明に変動することを明らかにした。 3.SPRIAによるPAF定量法の開発と応用ーシンチラントを内在するプロテインAで被覆したフルオマイクロスフィアビ-ズ、PAFIgG抗体を用いて新しいラジオイムノアッセイ法を開発した。SPRIAでは抗体に結合したPAFと遊離のPAFを分離する必要がなく、微量(0.03-2pmol)のPAFの測定が可能である。本測定方法による天然の試料の測定結果はS/M/GC/MSで確認でき、信頼性の高い定量ができることを明らかにした。
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