研究課題/領域番号 |
63580170
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50111307)
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研究分担者 |
原 光雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90005918)
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キーワード | アクチニド / プルトニウム / キュリウム / 内部転換電子スペクトロメトリー / 環境放射能 / 同位体比 |
研究概要 |
環境中のプルトニウム等の超ウラン元素の分析は、その放射能が微弱であることや測定装置が高価ではないなどの理由で、α線スペクトロメトリーによって行なわれている。しかし、この方法では原子炉で生成される最も重要なプルトニウムに関する同位体比^<240>Pu/^<239>Puさえも測定できない。この同位体比はその発生源を特定したり、環境中での挙動を知る上で極めて大切な知見である。これまでの研究では、α線スペクトロメトリーに代る^<240>Pu/^<239>Pu同位体比の測定法として、内部転換電子スペクトロメトリーを開発してきた。しかし、この方法を微弱な環境試料に適用することは困難である。そこで本研究では、核種によってα線に対する内部転換電子の放出率が異なることに注目して、微弱な試料でも同位体比を測定する方法の開発を行なうこととした。環境中の^<240>Pu/^<239>Pu同位体比を、α線の放出率に対するウランのLX線の放出率の比が^<239>Puと^<240>Puで異なることに着目した測定法についての報告がある。しかし、LX線の蛍光収率が低いため、LX線の放出率の変りに内部転換電子の放出率を用いる方がより高い感度で同位体比の測定が可能であると期待される。 本研究では同位体組成の複雑なプルトニウムではなく^<243>Cmと^<244>Cmについて検討した。同位体比の異なる3種類のキュリウム試料を作製し、内部転換電子スペクトロメトリーによって同位体比を測定した。次に、α線の放出率に対する内部転換電子の放出率の比と同位体比(放射能比)との相関は1次式であることが判明し、同位体比の測定が可能であることが示された。また、本法をLX線の放出率を用いる方法と比較したところ、期待通り約2倍程度の感度で測定が可能であることがわかった。これまでに開発した内部転換電子測定装置では、内部転換電子の測定と同時にα線及びX線も測定可能なため、長時間の測定が必要な微弱な放射性試料の測定には有利である。
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