研究概要 |
環境中のプルトニウムなどの超ウラン元素の分析は,その微弱な放射能強度と高価な装置を必要としない等の理由でα線スペクトロメトリ-によって行われている。原子炉中での生成量を考慮すると240Pu/239Pu同位体比はその発生源や環境中での挙動を知る上で極めて大切な知見である。しかし、α線スペクトロメトリ-では^<239>Puと^<240>Puの和が定量できるに過ぎない。微弱な放射能強度の環境試料中の同位体比^<240>Pu/^<239>Puの測定法として既に、これらの核種ではα線に対するウランのLX線の放出率が異なることに着目したものが提案されている。本研究では、これまでの内部転換電子測定装置の開発研究の成果を基にして、α線に対する内部転換電子の放出率の違いから同位体比^<240>Pu/^<239>Puのより高感度な測定法の開発を行った。 本法の基本的な有効性を確認するため、プルトニウムほど同位体組成の複雑でない^<243>Cmと^<244>Cmの混合物について最初に検討した。その結果、本法が超ウラン元素の同位体比の測定に有効であり、従来の方法と比較して感度よく測定ができた。更に、238から242までの同位体を含み異なった同位体組成をもつプルトニウムについて、精製直後の試料と精製後約1年を経た試料で検討を行った。これは試料に含まれている^<241>Puの娘核種である^<241>Amの影響を調べるためである。いずれの試料でも本法により同位体比の測定ができた。従って、内部転換電子とα線を同時に測定する方法は、環境中のプルトニウム・キュリウムの同位体比を定量するのみに有効であることが判明した。
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