研究概要 |
1.高純度Ge半導体検出器と高圧力4πβ比例計数管を用いる測定系を遮蔽系の中に組み上げ、リブタイム2パラメータ・データ集積システムを用いる同時計数のエレクトロニクス系に接続した。この場合、NaI(Tl)γ線検出器を用いる場合とは異なり、ファーストスローの考え方に基づく複雑なエレクトロニクス系を用いることが必要であった。 2.全系の確立後、β^-崩壊を行う^<60>Co,^<134>Csの放射能強度測定を行った結果、従来法による放射能強度と十分良い精度で一致し、一方の目的である放射能強度の測定は、β^-崩壊核種に対しては達成された。 3.α線測定より得られた一定膜厚の線源支持膜上に作製した^<46>Sc,^<60>Co,^<152>Euの良い線源を用いて、種々のエネルギーにおけるγ線検出効率を測定し、比較的広いエネルギー領域における検出効率曲線を作成した。この効率関数を用いて、基底状態への直接遷移がほとんど報告されていない^<59>Feのγ線放出率の測定を試みた。その結果、従来報告されている値と比較して十分に良い精度の値が得られ、この方法によるγ線放出率測定の有用性が確かめられた。 4.トリトン加速により不純物の混入しない同位元素の入手が可能になった^<42>Kは、80%近くが基底状態へ遷移し、γ線スペクトロメトリのみによっては、そのγ線放出率を決定できないが、この装置によれば可能である。そこで主たる1.52MeVγ線の放出率の精密測定を試み、現在100本近い磁気テープに蓄積されたデータを解析中である。 5.γ線検出効率の精密測定によく使用されるマルチγ線源である^<152>Euはβ^-崩壊と電子捕獲崩壊を行うため、その強度を精度よく決定することが困難であった。2パラメータ・データ集積システムによって可能となった2次元外挿法を適用することによって、放射能強度を決定することを試み、現在数十本の磁気テープ上にデータを蓄積中である。
|