本研究の目的は、高転換軽水炉の稠密格子炉心流路のような狭間隙流路において、気液二相流が如何なる構造を有し、如何なる挙動を示すかを明らかにすることである。昭和63年度は、透明アクリル樹脂製の狭間隙矩形流路内の垂直上昇、空気ー水二相流の流動様式を観察し、ボイド率及び気液界面積の測定を行った。 流動様式の観察には高速度写真及び高速度ビデオを使用し、気泡流、スラグ流、チャーン流及び環状流の4つの流動様式に流れを分類した。流動様式の境界となる条件は空気ノズルの形状にも依存するが、狭間隙の流路では常に気泡が流路壁により拘束されるため、気泡流は空気流速の小さい限られた条件でのみ観察された。 ボイド率の測定においては、従来のプローブは本研究の対象となるような狭間隙の流路では流れを乱すため、点電極法で特別に細かいプローブを製作し試験した。この方法は流速があまり高くないときには精度よく測定でき、有効であったが、高流速ではプローブの剛性が足りず、満足な結果が得られなかった。このため、光透過法あるいは中性子ラジオグラフィ法により二相流を可視化し、得られたビデオ画像を処理することによりボイド率及び気液界面積を算出した。この方法によれば、点電極法による結果ともよく一致し、かつ、高流速においてもボイド率の測定が可能であることが分かった。得られた平均ボイド率は従来のドリフトフラックスモデル相関式で整理できた。また、気液界面積濃度についても、有益な知見が得られた。 今後、得られたビデオ画像を詳細に解析することにより、気泡の挙動等を調べる予定である。今後の課題として、上記の測定方法が狭間隙矩形流路の特殊性を利用したものであり、他の形状の狭間隙流路については新しい手法を開発する必要がある。
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