研究概要 |
1.ジルコニウム(Zr)ージブチル燐酸(HDBP)系は第三相形成の主要原因の一つであり、DBP/Zrモル比2.5において沈澱生成量は最大となる。しかし、DBP/Zrモル比の増加と共に沈澱生成量は次第に減少し、モル比10以上になると沈澱の再溶解現象がみられる。これに反しZrーモノブチル燐酸(H_2MBP)系ではこのような再溶解現象はみられない。この原因としてZrーHDBP系沈澱はOH^ーによる架橋でZrが鎖状の構造をなしHDBP中で次第にこの鎖が切断されることによるものと考えられる。他方ZrーH_2MBP系の沈澱はOH^ーによる架橋でZrが層状構造をもつので再溶解現象は起らない。これらは、高分解能^<31>PーNMRの測定により確認された。(発表予定) 2.ルテニウム(Ru)ーTBP系の抽出挙動について 1)硝酸中のRuNO(NO_3)_3のTBPによる抽出には長時間を要する。 2)Ru(200PPm)ー抽出系では、抽出反応は見かけ上一次反応である。速度安定は4.7〜6.8×10^<ー5>secである。 3)有機相への抽出種は主としてRuNO(NO_3)(TBP)_2である。 4)水相からのRuNO(NO_3)NO抽出に伴う見かけのエンタルピ-変化の,△H,は-300〜-250KJmol^<-1>である。即ち30°C〜60°Cの範囲で発熱反応である。 5)プロトン核磁気共鳴吸収法により、RuNO(NO_3)_3抽出種は反磁性であることが判明した。従ってRuの酸化状態は2価であり、RuNO^<3+>の形を保持しているものと考えられる。 6)Ruの元素分析は、原子吸光法により3NーHNO_3水相について行った。有機相については、有機物質による増感効果のため適用できない。 7)RuーTBPの劣化生成物HDBP、系の抽出挙動についてはHDBPが水相中にも溶解するため、Ruの分析が不可能となり、調べてない。 8)ZrーDBPおよびMBP系と同条件下ではRuーDBP沈澱生成はない。
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