1.Zr-MBP(モノブチル燐酸)系においては、zr-DBP(ジブチル燐)系に比べ、MBPの濃度がDBPの濃度の10分の1において速やかに沈殿を生成することが判明した。従って放射線による溶媒の劣化が進行するとともに加速度的に第3相形成が促進されるものとおもわれる。さらにDBPとMBPとが共存する場合には、相乗効果の存在することも認められた。 2.ジルコニウム(Zr)-ジブチル燐酸(HDBP)系は第三相形成の主要原因の一つであり、DBP/Zrモル比2.5において沈澱生成量は最大となる。しかし、DBP/Zrモル比の増加と共に沈殿生成量は次第に減少し、モル比10以上になると沈殿の再溶解現象がみられる。これに反しZr-モノブチル燐酸(H_2MBP)系ではこのような再溶解現象はみられない。この原因としてZr-HDBP系沈殿はOH^-による架橋でZrが鎖状の構造をなしHDBP中で次第にこの鎖が切断されることによるものと考えられる。他方Zr-H_2MBP系の沈殿はOH^-による架橋のみならず燐酸による架橋もあって層状構造を形成しているため、再溶解現象は起らない。これらは、高分解能^<31>P-NMRの測定により確認された。(発表予定) 3.高エネルギ-研究所の放射光により得られたEXAFSスペクトルを解析した結果、a)ZrO^<2+>イオンは存在しないこと、b)Zr-MBP沈殿は層間距離16Åをもつ層状構造をもつこと、C)Zr-DBP沈澱はOH_-により架橋された鎖状構造をもつこと、が確認され、X線回析やその他の測定結果とも矛盾しないことが判明した。
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