研究課題/領域番号 |
63580190
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
杉浦 芳夫 東京都立大学, 理学部, 助教授 (00117714)
|
研究分担者 |
矢野 桂司 東京都立大学, 理学部, 助手 (30210305)
若林 芳樹 東京都立大学, 理学部, 助手 (70191723)
|
キーワード | 認知地図 / 環境知覚 / 行動地理学 / 多次元尺度構成法 / 空間分析 / 人工知能 |
研究概要 |
1.認知地図に関する既往の研究について、地理学のみならず心理学や建築学を含めた動向と問題点を整理した。その結果、従来は環境心理学を中心として展開していた認知地図研究において、近年では認知地図形成を情報処理過程とみなす認知心理学的接近が支配的であることが明かとなった。 2.既往の研究における認知地図の調査・分析法を吟味し、本研究で採用する調査法を検討した。その結果、単一の調査法では分析結果の信頼性に問題が残るため、描画法、距離評価法などの複数の調査技法を併用することに決定した。具体的には、対象地点の位置を用紙上に示してもらう描画法、ある地点間の距離を基準にして他の対象地点間の距離を評価してもらう距離評価法を採用した。分析技法については、認知距離データをノンメトリックMDSで処理した結果得られる認知地図の空間的パターンを、計測し、相互比較する際には、Tobler(1965)のユークリッド回帰分析法などの布置の重ね合わせ技法、ならびに2次元相関係数などの空間統計量が有効であることを確認した。 3.札幌、新潟、東京、長崎の4都市に所在する大学の協力を得て、1988年10月から12月にかけて、大学生を対象とした認知地図調査を実施した。 4.収集したデータは、1989年3月までに電算機への入力を終了し、入力済みのデータから順に、基礎的統計処理とMDSによる分析を行なった。その結果、調査技法によってやや異なる結果が得られること、各都市に特徴的な物理的構造が、認識地図の形態にも反映されていることなどが明らかになった。 5.1989年度は、ひき続きデータの分析を行なうが、その際には、特に認知地図の非ユークリッド性に関する検討を加える予定である。
|