1.クロ-ニングベクタ-の改変:酵母を用いて長いDNA断片をクロ-ニングするためのpYACベクタ-を、BglII断片をクロ-ン化するために改変した。さらに、クロ-ン化したDNAを動物細胞に戻して解析することを念頭において、Hygromycine耐性遺伝子を導入し、またDNA複製に必要なARS(Autonomously Replicating Sequence)を組み込んだ誘導株を作成した。 2.長いDNA断片の分離とクロ-ニング:ヒト培養細胞293S DNAを制限酵素BglIIで分解することにより、アルフォイド反復配列のためにBglII切断部位が希であるセントロメア領域を約200kbの断片として得ることができる。これをショ糖密度勾配遠心法により、より細かい他の染色断片から分離することができた。この濃縮されたセントロメア断片を、改変したpYAC誘導株にクロ-ン化し、アルフォイド配列をもつものを検索中である。 3.ヒト培養細胞へのDNA導入効率の改善:ヒト培養細胞293S株を用いることにより、外来DNAの導入効率を、リン酸カルシウム法では用いた細胞の50%以上、Electropration法では約40%の高頻度に行う条件を得た。 4.セントロメア領域でのDNA-蛋白質相互作用:染色体のセントロメア部位に存在する分子量80kDのCENP-B蛋白がアルフォイド配列中の17bpの特異的配列に直接結合することを、セントロメア抗原を認識する自己免疫患者血清中のセントロメア抗体を用いてのImmunoprecipitation法、及びgel-shift法により示した。現在までクロ-ン化されたアルフォイド配列の解析により、この17bp配列(CENP-B box)が、Y染色体を除くすべての染色体のセントロメア領域に見出されることから、このCENP-B蛋白とCENP-B boxの結合反応がセントロメア機能において何らかの役割を担うものと示唆された。
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