Dル-プ形成における大腸菌RecA蛋白質ドメインの機能

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63580206
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 堀井 俊宏 大阪大学, 理学部, 助手 (80142305)
• 研究分担者: 小川 智子 大阪大学, 理学部, 講師 (80028208)
• キーワード: 相同的DNA組換え / RecAタンパク / 機能ドメイン / DNA結合

研究概要

大腸菌RecA蛋白質は、相同的DNAの組換えの反応機構を解析する上で重要なモデルケ-スであり、本研究では、RecA蛋白質の構造的側面に焦点を当て、その分子機構を理解しようとしたものである。当該年度は昨年に引き続き、欠失変異型RecA蛋白質が野生型蛋白質とともに形成するヘテロなpresynaptic complexのin vivoにおける活性と、部位特異的変移導入によるDNA結合領域の推定をおこなった。その結果、欠失変移蛋白質におる解析からは、RecA蛋白質がpresynaptic complexを形成するのに必要な蛋白質間の重合能は少なくとも二か所の蛋白ー蛋白相互作用領域によって支配されており、その内の一つはN末端から40ー60番目のアミノ酸領域で行われるhydrophobicな相互作用であることが明らかとなった。また、これとは異なる蛋白ー蛋白相互作用領域の存在することも示唆された。一方、C末端25アミノ酸残基を欠いたRecA5327蛋白をもちいた昨年度の本研究から、RecA蛋白質にはDNA結合部位が一か所しか存在しない可能性が強く示唆されたが、これらの実験結果からRecA蛋白質のDル-プ形成反応およびストランドトランスファ-活性を分子レヴェルで説明する HeadーtoーHead Dimer モデルを構築した。現在、このモデルを実証するため、部位特異的変異導入によりDNA結合部位の同定を昨年度に引き続きおこなっている。

研究成果

• [文献書誌] Toshihiro Horii: "Head to Head Dimer Model for Strand Exchange by RecA Protein of Escherichia coll." Submitted to Molecular and General Genetics.
• [文献書誌] T.Horii,N.Ozawa,T.Ogawa,H.Ogawa: "Mapping of Functional Domains by Truncated RecA proteins." in preparation.
• [文献書誌] S.Tateishi,T.Horii,T.Ogawa,H.Ogawa: "Cーterminal Truncated E.coli RecA Protein,recA5327,has Enhanced DNA binding φaffinities to singleーand Double stranded DNAs:Regulatory Role of Cーterminal Region in DNA Binging." in preparation.
• [文献書誌] H.Miyashi,T.Horii,T.Ogawa,H.Ogawa: "Regulatory Mechanism of SOS functions:Repressor proteins contain all of the functions required for proteolysis." in preparation.
• [文献書誌] T.Horii,T.Ogawa,H.Ogawa: "Head to Head Dimer Model for the Function of RecA Protein" J.Cellular Biochem.supplement. 13D. 105-105 (1989)
• [文献書誌] 堀井俊宏: "RecAタンパク質の機能ドメイン" 細胞工学. Vol9. (1990)