研究課題/領域番号 |
63580210
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
矢吹 貞人 群馬大学, 教養部, 教授 (50011581)
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研究分担者 |
林 浩平 茨城大学, 教育学部, 教授 (80008226)
滝沢 俊治 群馬大学, 教養部, 教授 (50008158)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 中性子回折 / 中性子小角散乱 / 親水性リン脂質 / 水 / 脂質2分子膜 / トリホスホイノシチド / フォスファチジルイノシト-ル2リン酸 |
研究概要 |
(実験)1.中性子散乱用に、新鮮な牛脳から親水性リン脂質トリホスホイノシチド(TPI)を抽出し、大量の高純度試料を調製。2.高エネルギ-物理学研究所ブ-スタ-利用施設に設置の中性子小角散乱装置SANに適合する測定用セルを設計、製作。3.種々条件を変えて、TPIの多層2分子膜について中性子小角散乱実験。(1)重水分率、含水率による変化。重水分率は100%と50%の2種、含水率変化は0〜100%までとびとびに変化させて。(2)温度変化。2分子膜中の疎水性領域に水が浸透しているとされる低温(10℃)と、水が追い出されてしまっていると想定される高温(40℃)とで。(3)Ca^<2+>イオンの影響。(4)比較のために、レシチンの多層2分子膜について。 (結果と解析)散乱強度のピ-クは2次あるいは3次まで観測された。そこで、含水率変化に伴うラメラ周期の変化についてのX線回折のデ-タを利用し、ラメラ間、頭部層、炭化水素鎖層(疎水性領域)での水分子の存在量を仮定し、散乱ピ-ク強度の観測値と計算値が最もよく合致する水浸透モデルを求めた。その結果、予想された通り、1.実験結果に最もよく合致するモデルは、含水率の増加とともに膜中の疎水性領域へ水分子が浸透していくとするものである(10℃)。2.Ca^<2+>イオンが存在するときは水は内部へ浸透しえない。3.高温(40℃)になると、浸透していた水は追い出されてしまう、ことが明らかとなり、本研究の所期の目的はほぼ完全に達成された。 (今後の計画)散乱強度のピ-クがさらに高次のものまで観測できれば水分子の浸透状態についてさらに分解能を高めた詳細な構造的知見が得られることになる。そこで、そのために、同所にある広角散乱装置WITによる測定を計画している。
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