本研究は、二つに分けて行った。一つは、中学生の空間概念の形成の発達の様相の解明を行った。調査内容は、中学校理科第2分野の天体のうち、主として空間の相対概念について調査を行った。調査は、本学附属中学校、附属盲学校、附属聾学校、附属桐が丘養護学校、東京都公立中学校、秋田県公立中学校、静岡県公立中学校について行い、コンピュータ処理を行った。 その結果、空間の相対概念は、学年を追って順調に発達するものの、特に変移点のようなものは見られなかった。男女差については、一般に男子の方が優れているが、その差はあまり大きなものではない。 二つは、本研究の主題である空間概念の形成のための教材開発と指導法の開発、実践と評価を行った。 教材開発は、地球の自転軸の傾き、月、惑星の満ち欠け等のモデルとして、直径8センチメートルの発泡スチロール球を水性塗料で灰色に塗り、これに5ミリメートルの太さをもった心棒を通し、垂直と23・4°傾く穴をもつ木製のスタンドを作成した。授業は附属中学校の1年生を対象にして行い、実験群、対象群を設けて行った。評価は、プレテストとポストテストを行った。また、実験群については、授業についての20項目のアンケート調査を行った。またビデオ撮りして授業分析を行った。 その結果、学力にかかわる調査結果では、それ程の差は生じなかったものの、やや発展的な内容については、有意差を認めることができた。また、アンケートの結果によれば、モデルを用い、暗室にした実験室の中で、光の当たり方と見え方を具体的に視察することが面白く、よかったという者が多くあった。これは選抜された附属中学校の生徒の結果であるので、一般公立校では、もっとその効果は大きいものと思われる。これらの結果は、報告書として50ページほどのものにまとめて刊行した。
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