本年度の研究は、a)米国製の教育用ソフトウェアの試用・評価と、b)シミュレーション型ソフトウェアの開発と評価に大別できる。 a)について、特別予算の援助も得て、米国より評価の高い教育用ソフトウェアを約350点導入した。これらを、米国の教育用ソフトウェアライブラリーとして整理した。さらに、これらのソフトウェアの活用を容易にするため、各ソフトウェアの名称、教科、適用学年、特徴等の情報を登録したデータベースを構築した。 これらのソフトウェアから、シミュレーション型のソフトウェアを中心に約20点のソフトウェアを選定し、現職教員の協力のもとに、それらの内容の主な着想、ストーリの構造、学習者とのコミュニケーション、及び入出力等の方略について調査・整理した。さらに、それらを小・中学生に試用させ、日本の教育システムへの適用について考察した。 この結果、米国で評価の高いシミュレーション型のソフトウェアの特徴として、構成や展開の着想が斬新であること、ストーリの展開に工夫があること、学習の動機づけに工夫があること、自分の考えに基づいて実験を計画し、結果を確認できること等があることに概括できた。 b)について、以上の着想とともに、マイクロ操作に基づいたコピュータ教育方策を取り入れたシミュレーション型の教育用ソフトウェアEDCOMを試作した。このソフトウェアを中学校技術、家庭科の教師を対象に実施した産業教育指導者養成講座、及び大学校におけるプログラミングの学習の導入に試用し、評価を実施したところ、自分の考えに基づいて模擬実験ができたこと、データの流れや演算の過程を目で追えること、及び結果が自分の考えと合致しているかを確認しやすい等の結果を得た。 次年度は、以上のソフトウェアを中学生を対象に試用・評価したい。
|