欧米の教育用ソフトウェアの着想の調査と本邦の教育システムへの適用の研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63580221
• 研究機関: 宇都宮大学
• 研究代表者: 石川 賢 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (30091937)
• キーワード: ソフトウェア / 欧米 / 学校教育 / シミュレ-ション / 着想 / 評価 / 調査 / 教育工学

研究概要

本年度の研究は、a)米国製のシミュレ-ション型のソフトウェアを学校で実際に試用し、その長所と問題点を明らかにすること、及びb)この結果と、前年度に調査、整理した諸着想を念頭においた独自のシミュレ-ション型のソフトウェアを試作することに大別できる。
a)について、昭和63年度に調査したシミュレ-ション型の23種類のソフトウェア諸着想について問題の選択、導入時の状況設定、助言、シミュレ-ションの方略、ゲ-ミング、文字・描画・音の出力、入力の方法等の観点で具体的に種別・整理した。さらに、これらのソフトウェアから教授・制御様式ごとに5本を選定し、小学校6年生の児童31名を対象に試用させた。試用後に、上記の各観点で、各ソフトウェアに内在する具体的な着想の事例について、5段階の評定尺度を用いて評価した。この結果、児童の目から見た各着想の良否が明らかとなった。
b)について、昭和63年度に試作に着手したシミュレ-ション型のコンピュ-タ教育用のソフトウェアのプロトタイプについて、a)の調査結果を念頭に置いて、次の改善を加えた。(1)コンピュ-タ内でのデ-タの流れの動的な表示とマウスを用いたデ-タの柔軟な入力。及び(2)シミュレ-ションの環境を提供するだけではなく、問題の出題、学習者の誤解に基づく操作の指摘、正誤の判定等の学習の支援機能を持つCALモ-ドの付加。プロトタイプと(1)、(2)の改善を施したソフトウェアのそれぞれを、中学生・学部学生を対象に試用し、知識理解の点及び利用後の意識の点から予備調査を実施し、比較検討した。この結果知識で(1)(2)の改善を施したソフトウェアを用いて実習を行った学習群が、プロトタイプを用いた学習者群よりも有意に良い結果を得たことが定量的に判明した。また、意識の点でも学習者が望んだ時点で適切な助言を求めていることがわかった。次年度はさらに多人数を対象に評価を行いたい。

研究成果

• [文献書誌] 柄木田正春,石川賢,斎藤健次郎: "海外の教育用ソフトウェアの試用結果" 日本教育工学第3回大会講演論文集. 3. 127-130 (1987)
• [文献書誌] 石川賢,斎藤健次郎: "教育用ソフトウェアのライブラリ-の作成-米国の教育用ソフトウェアの導入について-" 宇都宮大学教育学部教育実践研究指導センタ-紀要. 11. 225-234 (1988)
• [文献書誌] 石川賢: "マイクロ操作に基づいたコンピュ-タ教育システムとその評価について" 日本産業技術教育学会全国大会講演論文集. 31. 43 (1988)
• [文献書誌] 石川賢: "シミュレ-ション型教育用ソフトウェア-「ディスカバソ-ラボ」-" 教育と情報. 365. 52-59 (1988)
• [文献書誌] 石川賢,小野昌久: "マイクロ操作に基づいたコンピュ-タ教育用ソフトウェアEDCOM/CALの構成" 教育工学関連学協会全国大会. 2. 585-586 (1988)
• [文献書誌] 石川賢: "マイクロ操作に基づいたコンピュ-タ教育システムとその評価" 電子情報通信学会論文誌A. J71-A. 2063-2071 (1988)
• [文献書誌] 石川賢,山口光夫: "シミュレ-ション型教育用ソフトウェアの試作と評価-海外のソフトウェアの着想の調査とその適用-" 日本科学教育学会年会論文集. 13. 113-116 (1989)
• [文献書誌] 石川賢,山口光夫: "シミュレ-ション型教育用ソフトウェアの着想の調査-シミュレ-ション型ソフトウェアの開発-" 5. 1989. (325-326)
• [文献書誌] 石川賢,山口光夫,他: "海外のシミュレ-ション型教育用ソフトウェアの着想の調査" 宇都宮大学教育学部教育実践研究指導センタ-紀要. 13. (1990)
• [文献書誌] 石川賢,高山裕一,山口光夫: "児童を対象としたシミュレ-ション型教育用ソフトウェアの評価結果" 宇都宮大学教育学部教育実践研究指導センタ-紀要. 13. (1990)
• [文献書誌] 石川賢: "コンピュ-タ・シミュレ-タ GateManager" 東京書籍, 108 (1989)