1.我国の小、中、高の理科、社会科、家庭科並びに中学校技術・家庭科の現行の教科書に記載されているエネルギー及びエネルギー資源に関する学習内容の調査を行い、次の点を明らかにした。現行の教科書は一貫したエネルギー教育を意識して作られたものではないため、内容が断片的であり、またエネルギー需要量と供給量の歴史的推移及び原子力発電に関する記述がほとんどみられない。 2.外国とくに技術先進国である米国及び西独の理科並びに技術科の教科書を購入し調査した。米国における理科教育は原理、法則の学習を主体とした教育であるが、エネルギー関連事項も多く盛り込まれている。反面、技術科の教科書の内容は我国以上に職業教育、技能教育的色彩が濃い。また西独の技術の教科書には"エネルギー"という章が設けられ、原子力発電も含めてその扱い方が本格的であることが明らかとなった。 3.約60巻のエネルギー資源、エネルギー変換関係のビデオ教材を検討した結果、内容的にビデオ教材にする必然性の感じられないものも多く、また発電方法及び石油精製等一次エネルギーから二次エネルギーへの変換過程に関する良い教材が少ないことが判明した。 4.上述の調査結果をふまえて、各教科間の横の関連づけ並びに小、中、高の縦の一貫性を考慮しつつ、これからの社会にふさわしいエネルギー教育の学習目標及び内容の検討を今後行う。
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