小学4年生19名(男59名、女60名)を対象に行ったアンケート調査の結果、男子の84.5%、女子の48.3%がテレビゲームを使用していた。しかし、ほとんどの学童が、1時間以内にテレビゲームを終えており、1時間以上使用していたのは土曜日67%(男子のみ)、日曜日24.4%(男子の39.0%、女子の10.0%)であった。この中で、テレビゲーム使用時間の長いほど疲れを感じている状況がみられた。すなわち、日本産業衛生学会産業疲労研究会作成の蓄積疲労項目のうち、「不安徴候」・「一般的疲労感」・ 「慢性疲労」・「身体不調」の項目に対する訴え率が高く、自覚症状では、「注意集中の困難」・「身体部位への疲労の投射」項目への訴えが多かった。睡眠との関係では、対象者各自の就床時刻・起床時刻はほとんど変わらなかった。また、自覚症状のうち、「眠気とだるさ」項目や、スタンフォード大学眠気スケール、あるいはアナログ式スケールによる昼間の眠気感については、テレビゲーム使用者にやや高い眠気傾向が見られたものの、有意差は認められなかった。実際の夜間睡眠測定の結果でも、有意な変化が見られたのは、レム睡眠周期の短縮だけであった。また、MSLT(multiple sleep latency test)法による昼間の眠気変動を測定したが、バラツキが大きく、有意な変化を認めなかった。しかし、今回の被験者は3、4名と少なく、その全例がテレビゲーム使用者であり、未使用者の成績は文献的にしか検討できなかった。同様な手法に基づくテレビゲームの未使用者の成績が欲しい。 以上、対象学童におけるテレビゲームの使用はそれほど長時間にわたっていないことがわかった。しかし、休日などに長時間使用している少数の学童にとっては、かなりの疲れが蓄積していることがうかがわれた。今後、テレビゲーム未使用者も含めて、さらに例数をふやすとともに、昼間の覚醒度の生理顎的検討を加え、疲れの主要因と対策を探りたい。
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