研究概要 |
昨年度と同内容のアンケ-ト調査を、対象範囲を広げて小学4〜6年生450名(男220名、女230名)に実施した。その結果、男子の71.3%、女子の43.0%がテレビゲ-ムを使用しており、女子より男子の方が統計学的に有意に多く使用していることがわかった(P<0.001)。その内訳は、小学4年生が59.5%で最も多く、5年生49.1%,6年生49.5%であった。そこで、テレビゲ-ム非使用群(男60名、女131名、計191名)と連続1時間以上のテレビゲ-ム使用群(男112名、女55名、計167名)間について比較・検討したところ、昨年度の成績(4年生のみ)とは異なり、日本産業衛生学会作成の蓄積疲労項目および自覚症状項目への訴え率および昼間の眠気感については、全体として両群間に有意差が見られなかったが、個体差による変動が大きいので、テレビゲ-ムの適応範囲について今後の検討を要する課題として残された。小学6年生の場合、テレビゲ-ム使用群でアナログ式スケ-ルによる昼間の眠気感が有意に高かった(P<0.01)。以上のアンケ-ト調査後に昨年度と同様、両群から被験者(男子のみ、非使用群7名、使用群4名)の協力を得て各種の生理的検査を行い、昨年度の成績と合わせてテレビゲ-ム使用の生理的影響について検討した。連続3夜にわたる夜間睡眠測定の結果、テレビゲ-ム使用群において睡眠の質に関わるノンレム睡眠第4段階の出現率の有意な減少を認めた(P<0.05)。睡眠潜時反復検査法(MSLT)による昼間の客観的眠気変動については、群間に有意な変化を認めなかったが、個体間のバラツキが大きいということは、前夜の眠りの質の悪さが、翌日の昼間の眠気に強く影響する個人が存在するわけであり、この点は学童の学校および家庭における生活指導面で考慮さる必要がある。昼間の覚醒度によって影響されるフリッカ-臨界融合頻度・聴性脳幹誘発電位・近点などの測定の結果には特に有意差が認めなかった。
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