中学校・高等学校における数学教育活性化のための教材開発

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63580239
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 柴田 敏男 東京理科大学, 基礎工学科, 教授 (70130333)
• 研究分担者: 長野 東 東京理科大学, 理学部一部, 講師 (10198343) ; 羽鳥 裕久 東京理科大学, 理学部一部, 教授 (90130335) ; 松尾 吉知 東京理科大学, 理学部二部, 教授 (60103024) ; 島田 茂 東京理科大学, 理学部一部, 教授 (00000034)
• キーワード: 活性化 / 驚き / 操作性 / 有用性

研究概要

1.開発した教材名とその概要
(1)誕生日は何曜日?(曜日計算):曜日計算法の公式、計算図表、計算模型を製作・利用して曜日計算を体験し、公式を創作する。
(2)何回であたるか?(20の扉):2進記数法、2分割検索法、バリティチェック等利用して情報処理の体験をし、中間値の定理、逐次近似法等の数学的アイデアに接する。
(3)重なる点があるか?(地図の大小):地図を拡大、縮小、変形して重ねても1点だけ重なることより、不動点定理の確認、作図発見
(4)どんなパタ-ンがあるか?(数理の不思議):数あてゲ-ム、素数・平方数、平方根、2数の積等より数理の不思議さを発見する。
(5)標本平均はどこへ集るか?(確率実験):標本平均の分布、母比率の推定をパソコンを用いてシュミレ-トする。
(6)鳩の入る巣はあるか?(存在定理):ディリクレの原理を用いて存在定理に関する問題の体験、証明の面白さを知る。
なお、概要は省略するが、下記の教材を開発した。不等式と初等関数の微積分、ケプラ-からニュ-トンへ、高校生のための幾何学再入門、図形の模様をしらべる、思考過程調査問題、等
2.主要な知見と残された問題
上記の教材を授業で実験をしてみた結果、活性化教材のもつべき特性として、以下のような知見が得られ(A)、問題が残った(B)
A.(1)生徒にとって“驚き"や“不思議さ"感じ(意外性)
(2)生徒が操作して、確かめたいという意欲がわくもの(操作性)
(3)生徒にとって役に立つと認めうるもの(有用性)
B.生徒の異なった認知段階に応じたアプロ-チを工夫する(最適化)ことが、今後に残された問題である。

研究成果

• [文献書誌] 柴田敏男: "X^nの微分・積分-不等式の応用-" Basic数学. 22. 12-16 (1989)
• [文献書誌] 柴田敏男: "立体図形-円錐切断之巻-" Basic数学. 23. 4-9 (1990)
• [文献書誌] 羽鳥裕久: "確率が考えられない事象(非可測集合の例)" SUT BULLETIN. 5巻6号. 66-67 (1988)
• [文献書誌] 羽鳥裕久: "母関数を用いて平均・分散を計算しよう" SUT BULLETIN. 6巻2号. 56-57 (1989)
• [文献書誌] 羽鳥裕久: "三角形の五心(付、等角共役点)" SUT BULLETIN. 6巻8号. 54-55 (1989)
• [文献書誌] 羽鳥裕久: "紐の両端をつるすと" SUT BULLETIN. 7巻2号. 60-61 (1990)
• [文献書誌] 長野東: "数学の有用性に対する意識と対応-理系学生の意識調査-" 日本科学教育学会年会論文集. 12. 90-94 (1988)
• [文献書誌] 長野東: "活性化教材開発のための-考察" 日本数学教育学会論文発表会論文集. 21. 117-120 (1988)
• [文献書誌] 長野東: "中学校・高等学校における数学教育活性化のための教材開発" 日本科学教育学会年会論文集. 13. 99-102 (1989)
• [文献書誌] 長野東: "学習の活性化に対する教材の構造の特性" 日本数学教育学会論文発表会論文集. 22. 341-346 (1989)
• [文献書誌] 長野東: "中学校・高等学校における数学教育活性化のための教材開発" 東京理科大学数学教育研究会誌. 31-2. 18-22 (1989)
• [文献書誌] 柴田敏男 編集代表吉田稔、飯島忠: "話題源数学上・下" 東京法令出版, 1051 (1989)
• [文献書誌] 島田茂: "教職数学シリ-ズ、実践編:問題集" 共立出版株式会社, 180 (1990)
• [文献書誌] 羽鳥裕久: "詳解確率・統計" 旺文社, 239 (1989)
• [文献書誌] 柴田敏男・小原実晃: "課題学習の研究-数学教育の活性化のための教材開発とその実践" 教育出版, 64 (1990)