研究課題
1.現在までの背景 電気通信大学は、1980年以来東大地震研等と共同で、関東地方に7ケ所の観測点を設置し、地震直前に観測される自然電磁界強度増加を、混信の最も少ない82kHzの窓周波数帯で観測して居る。多点同時観測網は人工雑音の除去と、震央の予知を行うためで現在は長波帯に加えて更に電磁界干渉の少ない周波数帯の1.5kHz、36Hz帯の観測も開始した。現在までに11例の地震直前の電磁界強度の増加を観測し、1例の震央の位置予知に成功した。いずれもM>6である。2.今年度の成果 多点観測網のためには、各観測点をテレメータ回線で結び、データを同時観測し、各点の相互相関を求め予知と震央の方向探知を行ない、極めて短時間のうちに警報発令等の判定を行う必要がある。従来は事後に磁気テープによる判定を行うのみであったが、今年度の科研費により、杉戸、大島、菅平の3観測点にコンピュータとモデムを設置し、データを公衆電話回線を通じて、調布市の電通大構内の主コンピュータに直接オンライン伝送する方式を開発した。同時に混信除去とより正確なソフトウエアの開発と改良、試作に成果を得た。特に注目すべき点は、モデム自身に誤り訂正機能を持たせ、伝送誤りを極力低くし、調布側からのホストコンピューターによる観測点の制御を可能としている。本科研費により調布の観測センターに高速パソコンと40メガバイトのメモリーを購入し、各観測点のデータの相関と、定期的なストリーマーによって各点のバックアップをとり、データの長期的保存にはDATによるマス・ストレージを可能とした。一方地震直前の電磁放射機構の解明のため、名大における岩石破砕実験により放射を確認した。3.今後の予定 次年度は本科研費により開発したシステムを他地点にも拡張し、リアルタイムデータ収集によるより正確な、震央予知を含む地震直前予知を可能とし、発生機構研究も完成する事を計画している。
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