研究課題
研究目的:大地震や火山噴火に先行して発生する地震群について、地震活動の特性を解明し、その特性から地殻内の応力状態を推定する方法を確立することで、大地震や噴火の予知に役立つ手法を探る。研究成果:群発地震の活動の変化や小地震の時空分布を各地域毎に分担して群細に調べた結果、地殻応力場が広い地域で変化したことを示すと考えられる現象が各地で見出された。この結果を持ち寄り研究討論会(63年12月6-7日於阿蘇)を開き全員で発表討論した。また、論点を「群発地震と広域応力場」にしぼって11編の論文にまとめて月刊地球に掲載した。各地域毎には、1.北海道内陸で発生する浅発地震活動は長期的には安定なパターンを示すが短期的には時間的に集中し空開的には広域におよぶ場合があり、大地震や火山噴火と密接に関係している。 2.東北地方内陸部の群発性地震活動は、同地方周辺部の大地震の消長と対応がある。 3.伊豆半島東部で繰り返し発生する群発地震の活動期は、同地域の地盤隆起速度が大きい時期と一致している。 4.中部・東海地域に発生する地震群は個々の活動の消長が一見複雑に見える。しかし広い地域の応力場の中での活動として見直してみると相互に影響を及ぼしている。 5.九州島原半島の西岸に発生した1984年の群発地震は大局的にはこの地域の南北張力の応力場に支配されている。 6.東アジア・中国西北部・日本列島全域での地震発生様式と広域応力場との関係も調べられた。また、日本全域における地震の発震機構のコンパイルもなされ、広域応力場の推定のための基礎資料を提出した。 7.火山地域の地震活動の調査もなされ、その特徴及び広域応力場との相関も調べられた。対象とした火山は、国内(屈斜路カルデラ・十勝岳・有珠山・伊豆大島・三宅島・浅間山・阿蘇山・雲仙岳・桜島・霧島)、国外(南極エレバス山・アフリカ ニーラコニゴ)である。
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