研究課題/領域番号 |
63601520
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角屋 睦 京都大学, 防災研究所, 教授 (00027210)
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研究分担者 |
田中丸 治哉 京都大学, 防災研究所, 助手 (80171809)
岡 太郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (90027243)
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キーワード | 内水氾濫 / 有限要素法 / 水害危険度 / 洪水災害 / 二次元不定流 / 差分法数値モデル |
研究概要 |
昨年度より、有限要素法を適用した内水氾濫解析モデルの開発研究を進めている。これまでに検討してきた有限要素モデルは、基礎式をGalerkin法を用いて離散化するとともに、時間微分にかかわる係数行列を対角行列に集中化し、時間微分を陽的に展開して、2Step Lax-Wendroff法を用いて解析しようとするものである。このような離散化により、大型マトリックスの逆行列の計算が不必要になるため、計算量の軽減と計算の高度化が可能になる。しかし、時間項の対角行列への集中化はスキームのバランスを損ない計算精度に悪影響を及ぼしかねない。 ここでは、まずはじめに、時間項の対角行列への集中化と計算精度との関係を、数値実験を行って基礎的に検討した。その結果、これまで集中化を行っていなかった時間に関する既知項の係数行列が一部についても、集中化を行うことにより、スキームのアンバランスが補正され、計算精度がかなり改善されることが明らかになった。 次に、計算量と計算コストを軽減するために、河道・水路の一次元流が卓越する洪水の書記と終期には、不定流-貯留モデル(一次元)を適用して解析を行い、氾濫流が主体の最盛期についてのみ二次元解析を行う結合型モデルを提案した。このモデルを昭和58年7月豪雨によって甚大な被害を受けた益田川流域に適用して洪水氾濫の再現を試みた。その結果、氾濫水位は痕跡などとかなり良く一致し、本モデルの実用性・有用性が確かめられた。 以上のように、Galerkin法に基づく氾濫解析モデルは一応できあがったが、集中化に伴ってスキームのバランスが損なわれることは数値計算上問題である。そこで、次の段階として、Galerkin法にかえてTaylor-Galerkin法を適用することを試みている。現在、水深が若干振動するなどの問題が残っているが、実用性の可能性が確認できている。
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