研究課題/領域番号 |
63602006
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大橋 力 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (90015652)
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研究分担者 |
永村 寧一 工業技術院製品科学研究所基礎人間工学部, 部長
小田 晋 筑波大学, 社会医学系, 教授 (90049156)
高橋 弘太 東京大学, 工学部計数工学科, 助手 (10188005)
山崎 弘郎 東京大学, 工学部計数工学科, 教授 (30092365)
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キーワード | 高密度生活空間 / ポジティブ要因 / 環境音 / 高周波音 / 快感漢 / 脳波 / 脳内アミン神経系 / 環境質評価指標 |
研究概要 |
高周波音の生理的・心理的影響を計測する指標として本研究組織が注目してきた脳波の計測手法の高度化を図った。被験者を拘束する従来の計測法は、実験の自由度が低い上にノイズの混入が多く不安定なので、無拘束の脳波測定を無線で行なうテレメトリ・システムにより、実験精度を向上させ、音環境の変化を敏感に脳波に反映させることを可能にした。ポータブルな計測・記録システムを構築し、屋内外や海外での計測を容易にした。典型的な脳波波形を抜粋して示す従来の分析方法を廃し、通常の10倍以上の長時間データをFFTで処理し、格段に高い信頼性を得た。 この手法で、人間の可聴域を越えるとされる26KHz以上の高周波音の付加〜除外実験時の脳波計測を行ったところ、高周波成分の有無に応じて脳波のエネルギー分布が顕著に変化するという注目すべき事実を発見した。この変化は特にα波、θ波(快感発生に関連があるとされる)領域で著しい。ついで、同一被験者を国内外の様々な音環境に所在させて脳波計測を行い、環境音からの遮断によって脳波のエネルギー分布の変化が生じることを見出した。 また、現存する音環境の計測及び人工的な音環境制御を、より高い精度と自由度とで実現するために、65KHz以上の高高域まで計測可能なデータレコードを導入し、その録音物を高速標本化ディジタル信号処理装置で分析した。人間にとって適合性が高いと思われる音環境が今なお高度に保全されている地域の環境音及び強いトランスを誘起性をもつ音楽の録音資料の採集と音響構造分析とを続け、データを蓄積した。その結果、これらには60KHzを上回る高周波成分が存在することが見出された。 高周波音は環境の快適性に関与するポジティブな要因として、一つの評価指標となり得ると考えられる。今後は、データの蓄積と詳細な分析をふまえて、その指標化を試みたい。
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