研究課題/領域番号 |
63602042
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大井 玄 帝京大学, 医学部, 教授 (70114410)
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研究分担者 |
斎藤 和雄 北海道大学, 医学部, 教授 (80000917)
小川 信子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60060612)
日暮 眞 東京大学, 医学部, 教授 (00010223)
兜 真徳 国立公害研究所, 室長 (00113481)
村上 周三 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40013180)
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キーワード | 高層高密度居住 / 健康影響 / 発育・発達 / ストレス / 適応・不適応 / コミュニティ / アメニティ |
研究概要 |
都市への人口集中に伴って住宅の集合化、高層化が一般化しているが、このような急激な居住環境の変化が人間集団の健康状態にどのような影響を与えるかは必ずしも明らかでない。本研究は、高層高密度居住形態を現にとる住民がどのような適応、不適応を示しているかを調査し、居住環境の人間に対する健康影響を評価することを目的として、昭和62年度より開始された。すでに昨年度の調査から、高層階に居住する乳幼児は低層階居住の乳幼児に比べ、日常生活習慣の自立が遅れている可能性が示唆されている。そこで本年度は、小児の心身の発育・発達をはじめとして居住者のストレスと生活・環境との関連、居住者の住意識、高齢者の自立度等についての継続調査、並びに室内環境測定を行った。その結果、高層居住児にみられた日常生活習慣の遅れは、母親以外の観察者においても確認されたこと、自立の遅れが年齢と共に解消していくこと、高層居住家庭における母親と児との間の距離が、物理的にも心理的にも近いこと等が示唆された。このような幼少時期の母子関係が将来、どのような影響をもたらすか長期継続調査が必要であろう。主婦のストレスと、居住階や居住密度との間に一定の関係はみられないが、ライフイベント、趣味、室内騒音等と関連が示唆され、また、環境騒音から受ける不快さの程度は、住居の棟・間取り、ライフステージ、性格、居住階と関連していた。一方、対象地区の高齢者の住環境に対する評価は比較的高く、性別により違いはあるが、外出の簡単さ、日当り、静かさ、緑が見える等の項目を高く評価していた。高齢者の活動能力は、むしろ高層階居住者の方が高く、健康で自立度の高い老人が高層居住を好む、あるいは適応している可能性があると思われた。環境測定から、室内二酸化窒素濃度は住宅設備や居室の配置により分布に違いを生じること、ダニ等の分布についても居室、季節、駆除法により違いがみられた。
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