研究課題/領域番号 |
63602513
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414)
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研究分担者 |
白川 太郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40196613)
岡山 明 大阪大学, 医学部, 助手 (60169159)
小川 康恭 大阪大学, 医学部, 助手 (60167319)
日下 幸則 大阪大学, 医学部, 助手 (70135680)
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キーワード | ヒト末梢リンパ球 / 姉妹染色分体交換(SCE) / 染色体構造異常 / 環境因子 / 遺伝素因 / 生活様式 / 双生児 |
研究概要 |
環境因子暴露に対する個人の感受性は遺伝的負荷と環境(ライフスタイル)要因により決定される。本研究では双生児集団を対象として、末梢リンパ球SCE及び染色体構造異常の誘発感受性分布とその決定に関与する遺伝及び環境要因(ライフスタイル)の寄与度を定量的に検討した。即ち、中学一年の双生児(一卵性31組、二卵性6組)より採取した末梢リンパ球をPHA刺激により培養した。標本の一部はmitomycin-CC3×10^<-8>M)処理又は^<137>Cs-γ線照射(2Gy)を行った。ライフスタイル(日常生活習慣)項目としては朝食、睡眠時間、身体運動、栄養バランス、自覚的ストレス量を採用し、健康習慣指数(HPI)を算出した。従来の我々の研究により、リンパ球染色体変異に対しては各個人のライフスタイルが大きく影響することが明らかとなっている。従って本研究でもまず、ライフスタイル(個別の項目及びHPI得点)と卵性との関連性を検討した結果、個別の質問項目に対する回答の一致度は、検討したいずれの項目においても有意差が認められなかった。又、HPI得点(平均値I標準偏差)は、一卵性2.85±0.31、二卵性2.91±0.28であり、卵性による有意な差は認められなかった。次にbaseline及びMMC誘発SCE頻度、γ線単独、及びγ線と修復阻害剤であるara-Cの同時処理により誘発された染色体構造異常頻度を観察したところ、卵性による有意差は観察されなかった。以上の検討を行った上で、これら染色体変異に関して、級内相関係数を算出したところ、MMC誘発SCE頻度にのみ、一卵性双生児の間で有意に高い一致度が観察された(r=0.484;p<0.05)。この結果はある種の有害因子に対する染色体変異感受性の決定には、遺伝素因が強く関与している事実を示している。今度、対象者を高齢者を含む成人にまで広げ、各年齢区分毎に環境及び遺伝要因の度合を定量的に検討する必要があろう。
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