研究の目的 変異原その他に対する感受性は生物種によって異なるため、「人体への影響という」観点からはヒト由来の材料を用いることが望ましいが、未だ適当な系は存在していない。他の生物由来の材料を用いて得られた結果をヒトへ外挿しているのが実情である。本研究の目的は、各種霊長類より変異原検出、あるいは、その他のバイオアッセイ等に用いうる細胞株を樹立することである。 研究の経過、成果、および考察 各種細胞株は本来の細胞が持っていた特性を可能な限り保持したまま半永久的な増殖性を備えていることが望ましい。本研究においては、細胞の自律的増殖を待つだけでなく、細胞増殖因子・腫瘍ウイルス等も用い株化を試みた。主として、リンパ芽球様細胞株、線維芽細胞が得られた。これまでに、50種の霊長類より、細胞、組織と集め、類人猿4属10種、旧世界ザル6属11種、新世界ザル2属2種、原猿2属2種より、計25種122の細胞株を樹立あるいは継代可能とした。また、いくつかの細胞株については、軟寒天法、限界希釈法を用い、クローン化細胞も得ている。 手始めに、原猿の線維芽細胞の変異原に対する感受性を調べたところ、ヒトの胎児由来線維芽細胞と〓歯類線維芽細胞株との間にあることが判った。 今後の問題 今後、入手可能な材料については、継代、樹立を目指す。得られた細胞株について、性状解析をすすめるとともに、これら細胞株の供給体制の確立を計りたい。
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