研究課題/領域番号 |
63602536
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
中嶋 泰知 香川医科大学, 医学部, 教授 (30155717)
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研究分担者 |
真鍋 芳樹 香川医科大学, 医学部, 助手 (40181812)
後藤 敦 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10049067)
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キーワード | 大気中粒子状物質 / 変異原性 / 1-nitropyrene / 1、6-dinitropyrene / 1-nitro-3-acetoxypyrene / benzo(a)pyrene / DNA付加体 |
研究概要 |
大気中変異原物質の健康影響を評価するための基礎的知見を得るため、大気中粒子状物質の変異原性を調査検討し、次の結果を得た。 (1)変異原性をAmesのpreincubation法で測定すると、秋から冬にかけて変異原性が高く、ついで春が高く、夏は低かった。(2)変異原物質の組成を調べるために各季節を代表すると思われる、4、7、10、1月の粗抽出物を中性・酸性・塩基性画分に分画してその変異原性を測定した。中性・塩基性画分にも大きな変動がみられたが、酸性画分はさほど変動していなかった。また、粗抽出物の変異原性に対する寄与率は、全期間を通じて中性画分が最も高かった。(3)中性画分に分画される直接変異原物質の指標として、1-nitropyrene(1-NP)、1、6-dinitropyrene(1、6-DNP)、1-nitro-3-acetoxypyrene(1、3-NAcOP)、間接変異原物質の指標としてbenzo(a)pyrene(B(a)P)を定量した。中性画分中の各平均物質量(ng/mg)は1-NP、19.7、1、6-DNP 3.4、1、3ーNAcOP 6.1、B(a)P262であり、変異原性への各物質の平均寄与率はそれぞれ0.5、19.5、7.0、1.9%であった。また、1-NPと1、6-DNP量との間には有意の正の相関(r=0.91)が認められたが、さらに、1-NP、1、6-DNP、B(a)Pは冬に濃度が高くなっていたが、1、3-NAcOPは春に濃度が高くなっていた。(4)昨年度、1、3-NAcOPのS9mix処理後の主生成物は1-nitro-3-hydroxypyreneであることを報告した。しかし、Ames法では、1、3-NAcOPはTA98NR。TA98/1、8-DNP_6で変異原性が抑制されることから、ニトロ基の還元が変異原性の発現に関与していると思われる。そこで、1、3-NAcOPをin vitroでxanthine oxidase 及びhypoxathine、catalaseの存在下でfish sperm DNAとincubate後、液クロで分析すると2種のDNA付加体と思われるピークが認められた。GC-MSの分析結果から、1つはdeoxyadenosineと1-amino-3-acetoxypyreneの複合体と推定した。
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