研究課題/領域番号 |
63603011
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
吉田 明 豊橋技術科学大学, 工学部, 文部教官教授 (20023145)
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研究分担者 |
齋藤 洋司 豊橋技術科学大学, 工学部, 文部教官助手 (90196022)
加藤 久雄 名古屋市工業研究所, 電子部, 特別研究員
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キーワード | シンクロトロン放射光 / グロー放電分解 / マイクロ波励起水素放電管 / 水素化アモルファスシリコン / 光誘起劣化 / 電子スピン共鳴 |
研究概要 |
高効率アモルファス太陽電池実用化のための開発研究が盛んに進められているが、光照射による劣化現象については未解決である。本研究では、現在まで殆ど調べられていない軟X線を含むシンクロトロン放射光(SR光)を始めとし、ガンマ線による照射における劣化現象を明らかにし、光誘起劣化の原因を調べ、欠陥生成機構を解明する。さらに種々のプロセス技術を用いて作製した素子の光誘起効果を調べ、劣化対策への指針を得ることを目的としている。 プラズマCVD(化学気相成長)法により作製した水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)膜にSR光照射を行ったところ、光伝導度は照射時間に反比例する結果が得られ、可視光照射の場合とは劣化機構が全く異なることがわかった。さらに、アニールによる回復過程を電子スピン共鳴法を用いて調べたところ、劣化原因はSi未結合手を含む欠陥であることがわかった。以上の結果から、欠陥生成機構として「直接切断モデル」を提案した。また、回復過程の活性化エネルギーとして約1eVが得られ、水素の移動による欠陥消滅機構が考えられた。 光CVD法により作製したa-Si:Hは高品質で光劣化も比較的少ないと言われている。しかし、膜形成および光劣化機構の詳細は明らかでない。そこで、今回、マイクロ波励起の窓なし水素放電管による光源を用い、ジシランガスを励起・分解することにより膜形成を試みた。この方法は窓なしのため短波長光が効率よく照射できるとともに高密度プラズマを反応室に導入可能である。その結果、成膜温度250℃において光感度比10^7が得られ、従来のプラズマCVD法で作製した場合に比べて高品質な膜が形成でき、高効率太陽電池作製プロセスとして有望であると考えられる。光劣化については、現状では、従来膜と同様な劣化機構を示した。
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