高温気体の熱エネルギーの有効利用において重要となる対流伝熱促進体としての機能を持ち、かつふく射促進体としても機能する促進体を開発し、加熱円管内の非ふく射性気体の流れを対象として、その伝熱特性を明らかにした。実験に使用する促進体は、ねじり方向の異なる一対のねじりテープで、一対の強い2次流れを生成させ、管壁のみならずふく射促進体への強制対流熱伝達を促進させることにより、高温場での熱伝達の促進を図る。まず昨年度において速度場を測定したのと同じ実験装置を用い、熱伝達率分布の測定を行い、以下の結果を得た。ねじりテープで作られた上昇流が壁面に衝突する部分で局所Nu数が平滑管の4〜6倍と非常に大きな値になる。局所Nu数分布はRe数が大きくなるとピーク値が減少し分布も平坦になるが、壁面に沿って流下してきた流体が流路最下端で互いに衝突する部分で伝熱が再び向上する。また熱伝達率のねじりピッチによる影響について、流動抵抗を考慮した評価を行った結果、P/D=3.3の時最大の促進率を示し、ふく射を考慮しなくても3割程度の伝熱管長の減少が期待できることが明らかとなった。 次に空気または窒素を作動流体としてふく射の影響をもとめるため、空気人口最高温度800℃の実験装置を製作し、ふく射の影響が最も顕著に現れると予想されるねじりピッチP/D=5.1の場合について伝熱実験を行った。その結果、気体の温度が200℃増加すると動粘度の温度依存性によりRe数は半分程度まで減少するが、ねじりテープを挿入しない時の熱伝達率は膜温度を用いた整理により従来の経験式と一致することが確認された。更にねじりテープを挿入した場合、実験の繰り返しとともに高温度での熱伝達率が徐々に増加する結果が得られた。この原因は促進体である銅板の酸化によるふく射率の増加と考えられ、ふく射塗料により促進体を高ふく射率面とするのが有効であることが分かった。
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