研究課題/領域番号 |
63603525
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学部, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
本多 裕之 名古屋大学, 工学部, 助手 (70209328)
飯島 信司 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00168056)
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キーワード | 遺伝子工学 / セルラーゼ / アルコール発酵 / アセトン・ブタノール発酵 / バイオマス |
研究概要 |
以下に記したような研究成果を得た。 1.セルロースを直接発酵する微生物を育種するために、まずセルロース加水分解酵素の一種であるセロビオヒドロラーゼ遺伝子(好熱菌NA10株起源)とβ-グルコシダーゼ遺伝子(ルーメン細菌Ruminococcusalbus起源)を大腸菌へクローン化した。これらの遺伝子産物はすでに我々がクローン化したエンドグルカナーゼとの共同作用により、セルロースを効率よく加水分解することが認められた。 2.このようにしてクローン化したセロビオヒドロラーゼ遺伝子をアルコール酵母へ導入し、酵母内でセルラーゼの生産をはかった。その結果、酵母における発現量は大腸菌の場合の約半分であり、分子量などの酵母的特性は大腸菌の場合とほぼ一致することがわかった。 3.セルラーゼの効率的な生産とセルロースの分解をはかるためには、このセロビオヒドロラーゼ遺伝子を高発現ベクターに連結しなおすことが優れた方策である。そのためにセロビオヒドロラーゼ遺伝子の塩基配列を明かにした。その結果、開始コドンから30個のアミノ酸は疎水性に富み、既知のセルラーゼ遺伝子と類似の塩基配列部分もかなり認められることがわかった。 セルロース系物質の有効利用の新展開をはかるため、Clostridium acetabutylicumによるアセトン・ブタノール生産についても検討した。本菌の場合、我々が開発した抽剤を使用することにより抽出発酵が可能であり、さらにフラッシュ蒸留を組み合わせることにより生産物を容易に回収できる。そこでまず本システム全体の特性及び最適化について検討し、適当な条件のもとで高い生産性が得られることがわかった。
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