本年度は吸着熱発生に伴う熱的諸問題を、【○!1】等温系、【○!2】断熱系、【○!3】熱交換系にわけて検討を進めた。 1.等温系PSAの挙動。PSA(圧力スイング吸着)装置挙動の理解の基礎となる等温操作について、2塔式PSAにおける希薄単成分吸着の製品ガス濃度と濃度スイングを予測する簡便な設計法を、短サイクル時間近似の考えに基づいて解析した。小塔径の等温PSA塔で、シリカゲルによる空気除湿及びモレキュラシーブ13Xによる空気中のCO_2除去実験を行い、上記短サイクル時間近似の解析によって装置挙動が説明できる事を確かめた。 2.断熱系PSAの装置挙動。塔径の大きい断熱PSA塔でのシリカゲルによる空気除湿を行ない、温度履歴と分離性能を調べた。サイクル時間の長い時には下流に向けて温度が高くなる定常的な温度分布に近づき、断熱温度変化に相当する温度上昇が生じた。このため、同じ操作条件下の等温系の場合と比較して10倍程度まで製品中の不純物濃度が増加する場合があり、この影響は製品濃度が低くなるにつれて顕著になることがわかった。 3.熱交換系PSAの装置挙動。吸着行程で発生した吸着熱を再生行程での過熱に利用するために、(1)蓄熱型熱交換(鉄球を吸着剤と交互に層状に充填して塔 熱容量を増加させて蓄熱する)と(2)換熱型熱交換(薄い長方形型吸着塔を隣り合わせて交互に吸着塔と再生塔として用い隔壁間で熱交換する)の2つの方法を、シリカゲルによる空気除湿に適用して検討した。前述の不利な温度勾配はなくなり、熱交換による分離性能の向上が確認された。
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