研究概要 |
本研究はアモルファス合金の新しい作製法に関するもので、水素の吸蔵により新奇の機能を有する材料を創製することを目的としており、本年度に得られた主な成果は以下のように要約される。 1.水素吸蔵によりアモルファス化する合金の探索 新たにC15構造のRFe_2とRCO_2、C23構造のR_2Al、DO_<19>構造のR_3Al、およびLl_2構造のZr_3Inが水素吸蔵により非晶質化することが明らかになった。しかし、C15構造のRAl_2およびDO_<19>構造のTi_3Alの非晶質化は認められなかった。結晶構造と状態図の検討から、本方法では水素が安定なサイトに入らない結晶構造で、しかも深い準安定な共晶の合金が非晶質化することが明らかになった。 2.水素雰囲気中における示差熱分析 水素吸蔵による非晶質化の機構と速度を知るため水素雰囲気(IMPu)中でGdFe_2の示差熱分析(DTA)を行った。その結果、水素を固溶した結晶が非晶質相へ発熱的に変態することが観察され、後者の自由エネルギーが前者より低く、非晶質化が起こることが熱力学的に明瞭に裏付けられた。また、アモルファス化のピークが鋭いことから、水素吸蔵による非晶質化速度は他の固相反応法にくらべて、著しく大であることが分かった。 3.水素吸蔵で生成したアモルファス合金の磁気的性質 水素吸蔵法で作製した非晶質a-RFe_2Hxおよび結晶C-RFe_2Hx(R=Tb,Dy,Ho,Er)の熱磁気曲線を磁気天秤で調べ、従来の結果と比較検討した。水素吸蔵で生成したアモルファス合金のキュリー温度および磁化は元の結晶にくらべるといずれも低く、GdFe_2合金の挙動に類似することが明らかになった。
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