研究課題/領域番号 |
63604546
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70016591)
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研究分担者 |
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60135407)
滝沢 章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90016262)
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キーワード | 非平衡状態 / 高分子ガラス / ミクロボイド / 急冷 / ガラス状態 / 自由体積 / 収着 / 透過性 / 気体分離 |
研究概要 |
高分子液体における比較的遅いミクロブラウン運動によって生成する自由体積を急冷により非平衡ガラス状態に瞬時に凍結することで高分子セグメント間隙に形成されるミクロボイドを制御することにある。この際、液体状態の温度を適宜変えることにより生成される種々の自由体積を急冷処理により凍結することで非平衡ガラス状態でミクロボイドが制御されることが期待される。このように液体温度と凍結温度・熱処理温度を種々変化させることによって種々のガラス状高分子膜中のミクロボイドを制御することを最終目的とし、気体輸送特性を通してこの評価を行うとともに、ミクロボイドの気体選択透過性への影響を検討した。 液体状態にある高分子をTg以下の温度に急冷すると液体状態にある大きな自由体積の多くをミクロボイドとして保持することが可能である。液体状態である180℃より室温に徐冷したポリカーボネイト(PC)膜と、190℃、200℃の液体状態温度より0℃へ急冷したPC膜、そして未処理ポリイミド(PI)膜と450℃の液体状態より液体窒素温度に急冷したPI膜のCO_2に対する25℃での収着等温曲線及び透過係数の圧力依存性を求めた。急冷処理前の液体状態での温度を高くすることにより収着量及び透過係数はより増加した。この変化を二元収着・部分不動化モデルを用い解析し、得られた二元収着・移動パラメータから急冷により形成されたミクロボイドを多く含む疎な膜構造は溶解性に関しては主にLangmuirサイトの飽和定数(C_H')の増加に、拡散性に関してはHenry型分子拡散係数よりもLangmuir型分子拡散係数の増加に顕著に反映した。 急冷処理によって得られたPC、PI膜のO_2、N_2分離特性に関しては急冷処理により透過性が向上するにもかかわらず分離性の低下が抑制された。
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