研究課題/領域番号 |
63604557
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曾我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
中西 和樹 京都大学, 工学部, 助手 (00188989)
平尾 一之 京都大学, 工学部, 助教授 (90127126)
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キーワード | 超急冷 / 非晶質材料 / オキシフルオライドガラス / フッ化物伝導 / 混合アニオン効果 / 分子動力学シミュレーション |
研究概要 |
超急熱・急冷法を用いて非晶質材料を作製すると非平衡状態をかなり保持できるので、従来の溶融法では得られなかった新しい機能性をもたせる可能性がある。本研究では高いフッ化物イオン伝導性を有すると考えられた(A)MnF_2-PbF_2-SiO_2系、(B)ZnF_2-PbF_2-SiO_2系、(C)BiF_3-PbF_2-SiO_2系について、イメージ炉と双ローラー装置を用いた超急熱・急冷法により、非晶質試料を作製し、直流導電率及び光電子分光(XPS)測定を行った。(A)系はかなりの組成領域にわたってガラス化した。200℃での導電率および活性化エネルギーをSiO_2含有量に対してプロットしたところ、SiO_210モル%組成で導電率は極大値を、活性化エネルギーは極小値をとり、既に報告したMnF_2-MnO_2-SiO_2系と同様の混合アニオン効果が現れた。このガラス組成45MnF_2-45PbF_2-10SiO_2は、200℃での導電率が10^<-4>S・cm^<-1>とフッ化物ガラスの中でトップデータに属するものである。XPSスペクトルの結果、このガラス組成付近で2種類のフッ素イオンの存在が確認された。また分子動力学法コンピュータシミュレーションによりFイオンの動的挙動を解析したところ、あるサイトで振動しているFイオンと別のサイトへ拡散していくFイオンが存在するという同様の結果が得られた。以上の結果より、最高導電率を示した45MnF_2-45PbF_2-10SiO_2ガラスは、結合状態の異なるFイオンがガラス中に存在し、弱い結合力をもったFイオンが導電率を上げたためであると推察した。しかし、(B)系や(C)系のオキシフルオライドガラスでは明確な混合アニオン効果がみられず、電導率の向上は見られなかった。混合アニオン効果の発現を明らかにするため、Pbイオンの分極が系に及ぼす影響やカチオンの電子相互作用を検討するとともに、Fイオンの動的挙動をさらにコンピュータシミュレーションで詳しく調べて、高イオン伝導性をさらに高めるガラスの探索を行っていく。
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