研究課題/領域番号 |
63604569
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 成年 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70029875)
|
研究分担者 |
森本 秀子 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (70166437)
|
キーワード | 有機金属液晶 / 高分子液晶 / リオトロピック液晶 / サーモトロピック液晶 / 磁場内配向 / ジオキサボリナン / 有機金属高分子錯体 |
研究概要 |
金属の持つ独特の性質を液晶に付与することにより新しい機能の発現を期待して、我々は新規な有機金属液晶化合物を合成し、その特性について研究を行ってきた。本研究では、高機能性有機金属液晶材料の開発を目的として、主鎖が遷移金属とアセチレンから成る有機金属高分子リオトロピック液晶とホウ素を含む低分子サーモトロピック液晶を中心にその分子設計と合成、分子構造と液晶としての機能との関連を系統的に検討している。本年度はイオン性高分子液晶とホウ素を含む強誘電性液晶について検討し、その結果を得た。(1)イオン性有機金属高分子液晶:アセトン溶媒中アセチレン架橋パラヂウムニ核錯体をビピリジル存在下にKPF_6で処理することにより、主鎖に金属を含む初めてのカチオン性有機金属高分子の合成に昨年度より成功した。種々のニ核金属錯体とビピリジル誘導体を組み合わせて、構造をデザインできることも本合成法の特徴の一つであり、今回は新規構造を持つイオン性有機金属高分子錯体を数種合成した。それらは塩化メチレンあるいはアセトン溶液中ネマチック液晶を形成することを確認した。またこれらの液晶が磁場に応答することを^<31>P核磁気共鳴吸収スペクトルによる研究から明らかにした。 (2)有機金属低分子液晶:我々は1、3、2-ジオキサボリナン環がサーモトロピック液晶の基本骨格として優れていることを見いだしているが、本年度は光学活性置換基を導入した場合の強誘電性液晶の形成について検討した。まず、二環系について末端置換基のアルキル基鎖長の液晶性に及ぼす影響を調べた結果、強誘電性液晶となりうるSC*相形成のためには基本骨格の両端アルキル鎖がある適当な長さになる必要があること、またその組合せが重要であることが分かった。今回合成に成功した液晶はビフェニル系、ピリミジン系につぐ新規な二環系強誘電性液晶であり、勿論含金属液晶としては最初の例である。
|