ZrF_4系およびFeF_3系のフッ化物ガラスについて伝導のキャラクタリゼーションと構造解析を行った。その研究内容は以下の通りである。 1.FeF_3系ガラスでの(フツ化物イオンー電子)混合伝導 2.ZrF_4系およびFeF_3系ガラスでのガラス状態電解現象 3.ZrF_4-BaF_2-CsFガラスのZr-EXAFS解析 4.高エネ研・放射光実験施設でのZrF_4系ガラスのZr-EXAFS測定 〔1〕では、FeF_3系ガラスがフッ化物イオン伝導とともに約10%前後の電子伝導をもつことを明らかにした。この結果はFeF_3系ガラスが固体電解質電池の電極材や酸化還元触媒、フッ素ガス抽出用の選択性透過膜などの応用に対する潜在性があることを明らかにした。 〔2〕で見い出された「ガラス状態での電解現象」は初めて見い出された現象である。この現象はZrF_4系およびFeF_3系ガラスが極めて大きいフッ化物イオン伝導性を有していることによるものであることを明らかにした。 〔3〕は昨年、分子研の協力を得て行ったZr-EXAFS測定結果をさらに詳細にデータ解析を進めたものである。その結果、昨年度はZr-Fの結合距離についてのみしか情報が得られなかったが、今回ZrのF配位状態についても情報をえることができた。 〔4〕ではZrF_4系ガラスにおいて修飾成分カチオンの種類によりZrのF配位状態がコントロールできるかどうかを調べるための実験である。マシン・タイムの都合上、現在、測定は完了しておらず、継続中である。
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