主鎖にπ-電子系とケイ素-ケイ素結合とを交互に含む新しい含ケイ素ポリマーとしてポリ[ジシラニレンナフタレン](1)、ポリ[ジシラニレンエチニレン](2)およびポリ[ジシラニレンブトエトイン](3)を合成しそれらの光機能および導電性を検討した。1、2は相当するビスクロロシリル誘導体のナトリウムによる縮合によって、3は遷移金属触媒によるジエチニル化合物の重合によって得られた。分子量(M^^ーw)はそれぞれ1万〜4万の値を示した。これらのポリマーはケイ素上の置換基によってさまざまな形状となるが、多くは常温で固体である。又、一般の有機溶媒に可溶で成膜性が非常によく、スピンコーティングにより数千〓の均一な膜厚の薄膜にすることができた。 ポリマー1〜3はそれぞれπ電子系置換ジシランに特有の吸収を紫外線領域に有するが、薄膜状にしたポリマーに紫外光(254nm)を照射すると速やかにこれらの吸収の消失が見られた。又、溶液中での光照射では分子量の急激な減少が確認され、これらのことはポリマー1〜3がケイ素-ケイ素結合の開裂により低分子量化したことを示し、ポジ型フォトレジストとして利用できることがわかった。 これらの光分解過程を明らかにする目的でポリマー1のモデル化合物である1、4-および1、5-ビス(ペンタメチルジシラニル)ナフタレンを合成しその光反応を行ったところケソ素-ケイ素結合のラジカル的切断に基づく生成物が得られ、ポリマー1の光分解の初期過程はケイ素-ケイ素結合のラジカル的切断であることがわかった。 ポリマー2、3の薄膜をSbF_5蒸気により処理すると0.2〜0.5S・cm^<-1>という金額領域に近い導電性を示すことがわかり、新しい導電性高分子材料としての利用が期待される。 今後、さらに新しいタイプのポリマーの合成を行う予定である。
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