昨年度の偏光変調電気系の製作に引き続き、今年度はそれの改良および性能試験をまず行なった。主な改良点は、水晶に印加する交流電圧の周波数可変範囲を二倍の0.1%に拡大したことである。性能試験は、イ)温度特性、ロ)電圧・位相安定性、ハ)変調特性について行なった。イ)については、20〜30℃にわたり調整なしに良好に動作した。共振周波数には直線的な温度依存性が見られ、その傾きは-1.9/Hz/℃であった。ロ)については、一週間連続運転をしてドリフトが十分小さいことを確認した。ハ)については、まず┣D71(/)4┫-波長板としての変調特性の測定を入=632.8nmで行なった。その結果、波長αJ┣D21┫D2(1.842V/Vmax)の理論曲線によく一致する結果が得られた。そして日本分光やChcngらの値に比べて約┣D71(/)4┫の電圧で変調でき、より高効率であることが分った。(以上Jan、J.Appl.Physに掲載予定) この理由を調べるため、┣D71(/)2┫-波長板としての変調特性を入=632.8nmで測定した。電圧と電流の位相差θを変えて効率を測定したところ、θ=0でVmaxが最小であった。θが0からずれるとそれにつれてVmsxも増大するが、消費される電力はほぼ一定であった。このことから、市販のドライバーでは位相差≠0のために高電圧を要するものと結論づけた。別の測定から周波数のずれ△fと位相差の関係を求め、△f〓2〜3Hzと推定した。 次に10cmの回折格子分光器を用いて分光系の試験を行なった。項目はイ)低圧水銀灯の線スペクトルが正しく検出できるか、ロ)ロックイン・アンプを用いて非偏光の蛍光検出ができるか、についてである。イ)については1nm以下の誤差で検出できた。ロ)については、横方向から観測することにより、いくつかのアミノ酸について検出できた。そして蛍光最大波長の位置は文献値と一致した。しかし、縦方向からの検出には励起光の遮断が重要であることが分った。そして適当なフィルターを用いて再測定をする予定である。
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