昨年度は酸素分子とアミンやアルコール類との錯合体の励起状態を研究し、これら錯体の接触型電荷移動吸収帯の終状態は、酸素分子の^1Δ_Uの局在励起の性格が強いことを明らかにした。今年度より簡単な、原子と酸素分子の励起状態における相互作用を研究した。ベリリウム原子は両性金属であり、化学結合をする時電子供与体としても、電子受容体としても働く。我々はこれまでベリリウムとそのイオンを含む化合物の研究をすすめてきたが、基底状態に限ってきた。この一連の研究と酸素の研究を結合し発展させることを本年度の目標とした。まず、最も簡単なベリリウム酸化物であるBeO分子の状態のうち、Be(^1S)+0(^3P)、Be(^1S)+0(^1D)、Be(^3P)+0(^3P)に解離するすべての状態のポテンシャルエネルギー曲線を配置間相互作用法によって計算した。励起エネルギーや分子構造パラメーターは、実験値のあるものについては、よい一致をみたが、基底状態の解離エネルギーは、実験値といわれている値より著しく小さい計算結果となった。この不一致の原因は、理論計算の側だけにあるとは思われない。 また、励起状態のダイナミクスを研究する上に大切な、連続(解離)状態中に埋もれた共鳴状態を研究する新しい数値的方法を開発し、モデ問題に応用するだけでなく、CH分子の^2Σ^+→^2Π遷移のフランク・コンドン因子の計算を行なった。
|