研究課題/領域番号 |
63609505
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
櫻井 利夫 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20143539)
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研究分担者 |
西 敏夫 東京大学, 工学部, 助教授 (70134484)
橋詰 富博 東京大学, 物性研究所, 助手 (70198662)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 電界イオン顕微鏡 / アルカリ吸着 / シリコン再構成表面 |
研究概要 |
走査トンネル顕微鏡(STM)は、試料表面の原子の起伏や電子状態を原子レベルの空間分解能で観察することが出来る顕微鏡で、現在表面分析手法の中で最も注目をあびている。STMにおける最大の問題点は、分解能と再現性及び安定性にあり、その原因が探針(tip)先端の原子配列にあることは、かなり共通した認識になってきているが、その探針を積極的に評価する試みは、これまで殆どされていなかった。 本研究における第一段階の目標は、電界イオン顕微鏡(FIM)を、STMに組み込み、探針の先端を原子レベルで観察・加工し、STMにおける安定性の問題を克服するという、非常に独創的で、かつ、困難を伴なうものであったが、物性研究所特有の大きな床の振動問題も解決され、装置は稼動している。 この装置では試料表面の面内方向に1A^^0以下、垂直方向に0.01A^^0以下という高分解能が、常時得ることが出来、FIMにより探針という未知のパラメータをとり除くことに、見事に成功したと言える。 これまでに、(1)Si(100)表面を高温(1400k〜1600K)で熱処理したときに観察されていた"2×n"(n=6〜12、特に8、11)表面再構成構造が表面で配列したダイマー欠陥によるものであることを、STM像を統計処理することにより証明した。(2)Si(111)7×7表面にLiを吸着させるとLi原子は、Siの7×7の変形ユニット上の12個の最表面Si原子のうち、半分の三角形(積層欠陥側)ユニット上のb個のSi原子の中の3個の上に吸着し、Liが3個三角形に並んだ、トライマーとして安定していることがわかった。さらに、このトライマーはb個のSi上をトライマーを崩さずに表面拡散することが観察される等の結果が得られており、また、高分子を金属に吸着させたときの吸着構造を観察する試みがなされている。
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