研究課題/領域番号 |
63610003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平 啓介 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50013579)
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研究分担者 |
大槻 茂雄 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (00016784)
市川 洋 鹿児島大学, 水産部, 講師 (60128410)
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キーワード | 深層海水循環 / 黒潮反流 / 漂流速度直接測定 / ソーファー技術 / 海洋音響技術 / 四国海盆の循環 |
研究概要 |
中深層の海水と密度の等しい物体の漂流を計測して中深層循環の直接測定を行うことが本研究の目的である。海中のソーファー層と呼ばれる音波導波層を利用するソーファーフロートにより広範囲の追跡を行う。周波数780Hzの音波を1日2回発する中立フロートの信号を3点に係留した受信局で到達時刻を計測記録する。受信局を回収して中立フロートの位置を決め、漂流距離を微分して速度を評価することができる。中立フロートは海水とともに動くので高い制度で海洋の中深層循環を直接測定することができる。 昨年度に確立したソーファーフロートの浮力試験法に基づいて、四国沖の1500mの海水密度とつり合う調整を行ない、本年4月に白鳳丸(東大海洋研)により30°N、136°Eの地点に放流した。フロートの個数は2台であり、同航海で1辺の長さが242km、393km、457kmの3角形の頂点にソーファー受信局を係留した。水深5000mの海域で受信ハイドロホンは1000m層に置いた。受信局の回収は10月下旬に敬天丸(鹿大水産)で行なった。ほぼ同一点に放流した2台のフロートは最初の10日間は毎秒5cm以下で北に流れたが、その後南に秒速10cmで流れた。その後160日余の間は両者は南北に約100km離れていたが、ともに毎秒10〜30cmで西に流れた。漂流点は黒潮の南側の黒潮反流域にあり、西向きの流れが卓武することは知られていたが、多くの観測で無流面を仮定する1500m層に恒常的な流れが存在することは新しい知見である。 受信局を回収し、ほぼ同一点に受信局を設置し、あらたに2台のフロートを134°E上に放流した。上の解析による漂流中のフロートも同じ子午線にあり、四国沖の九州パラオ海嶺の東側に相当する。四国海盆の反時計まわりの深層循環の解明に有意義な配置と言える。
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