研究課題/領域番号 |
63610007
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
松山 優治 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (00092594)
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研究分担者 |
日比谷 紀之 東京大学, 地震研究所, 助手 (80192714)
吉田 次郎 東京水産大学, 水産学部, 助手 (30174931)
鎌谷 明善 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30017032)
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キーワード | 日本海の深層水 / 海底地形と深層水の分布 / 大和堆周辺の深層流 / 隠岐海盆の暖水塊 |
研究概要 |
本研究は海山や海堆のような比較的小規模な海底地形変化が深層水の分布にどのように影響するかを調べることが目的である。日本海中央部の大和堆及び西部の隠岐海盆をモデル海域とし、1988年7月、神鷹丸に依る調査を実施した。解析の結果、随所に海底地形の影響と考えられる分布が認められた。大和堆周辺では、ポテンシャル水温1℃以下の等温線が浅瀬に向って傾斜し、堆に沿う海水の運動が示唆された。等温線の傾斜から堆を石に見て流れる幅10〜20マイルの深層流と推定される。この深層流は堆に捕捉された境界流として振舞うと考えられ、日本海全域の深層流の挙動と深く関わっていると推測される。又、大和堆と北大和堆の間の小規模な海盆では、ポテンシャル水温の等値線は海底の起伏に沿い凹状の分布が見つけられた。能登半島から大和堆を結ぶ観測断面で300m以浅ではポテンシャル水温の等値線が日本に向って下降しているのに対し、300m以深では逆に上昇していた。これは日本側での深層水の湧昇をうかがわせる。隠岐海盆では、暖水塊が海盆に捕捉されるように存在することが確認され、暖水塊と傾斜する海底の間を深層水が上昇してくることが判った。この深層水は山陰沖の水深200m付近まで湧昇していた。 1988年度の研究は海洋現場での観側とその解析を中心に進めてきた。1989年は研究をさらに発展させるため、次の二点に焦点を合わせる。 (1)大和堆周辺を中心とした、さらに詳細な観測を実施する。水温・塩分の他に、本年度観測できなかった溶存酸素・シリカを測定し、本年度の結果を実証する。 (2)日本海の数値モデルを用いた研究も進めているが、テストランは終ったので、日本海の深層水の循環についての海底地形の役割を実験により明らかにしてゆく。
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