研究課題/領域番号 |
63611502
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
|
研究分担者 |
中村 士 国立天文台光学, 赤外線天文学研究系, 助手 (80107474)
香西 洋樹 国立天文台光学, 赤外線天文学研究系, 助手 (00012865)
古川 麒一郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (40012869)
渡部 潤一 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (50201190)
田鍋 浩義 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 教授 (50012802)
|
キーワード | 彗星 / 小惑星 / 衛星 / 自転 / 太陽系の起源 |
研究概要 |
太陽系小天体、主に彗星、小惑星、衛星の相互関係と差異を観測的に明らかにするのが本研究の目的である。小天体の中でも特に暗いものを重点に2次元測光観測をするために、冷却型CCDカメラを制作し、テスト観測を実施した。カメラが納入された時期が当初の約束よりかなり遅れたことと、堂平観測所の観測プログラム編成の方法が本年1月から変更されたために、研究年度内には充分な観測が得られなかったが、カメラの性能は我々が期待する通りのものであることが確かめられた。テスト観測および関連研究の成果は次の通り。(1)シューメーカ・ホルト彗星(1987Z)の核近傍CDD観測を行なった結果、この彗星の絶対光度が近日点の前後で暗くなっていることが判明した。また過去軌道に数値積分で溯ることによって、この彗星は割に最近、長周期彗星から短周期彗星に捕獲されたものであることが示されたので、上記の減光は近日点距離の急激な減少により、アウトバースト的質量放出が起り、不揮発性クラストが発達したとして説明できることがわかった。(2)小惑星、惑星、彗星等の自転核運動量密度と質量を対数グラフ上にプロットすると、傾き2/3のほぼ直線上に分布することは60年代から知られていたが、本研究では新しい測光データを用いて対数グラフの分布を計算し直し、暗い小惑星では分布の様子が分光型で大幅に異なり、これは各分光型の小惑星の衝突履歴と、構成する岩石の機械的強度の違いによるらしいことが示された。また、潮汐作用の影響のない外衛星のいくつかについても自転角運動量密度を計算し、小惑星の分布図と比較した結果、小惑星の起源と同じプロセスで形成されたと考えてよいこと、つまり外衛星は小惑星領域から捕獲された可能性が高いことがわかった。今後、暗い小惑星、彗星、衛星のCCD測光を継続し、統計的議論をするに足るデータを集積する予定である。
|